2016年3月17日 グリーンホール相模大野

30周年記念コンサートツアーの幕開け。
新構成の初日。
そして1月以来、久しぶりのコンサート。
指折り数えて今日の日を待ったファミリーが集結し、ニューグッズが発売になった売店も、新曲が山積みされたCD売り場も大盛況。

久しぶり!の挨拶をするファミリーの多いこと。多いこと。

初日、昼の部の私の座席は7列目のど真ん中。舞台とフラットくらいの目線でステージのすべてが見渡せる良席。相変わらず冬美運は強いぞ♪とワクワクしながら1ベル前に着席。心を整えて2ベルを待ちます。

緞帳が上がるとうす幕が張られていて、間もなく30年の歩みとして最新の北の海峡/愛の詩から、あばれ太鼓までのジャケットが次々と映し出されていきます。

ベスト盤の「道」さながら、今までの冬美ちゃんの歴史を見ているだけで泣けそうです。

バラエティに富んだシングル曲、変わり行くビジュアル。一時も沈むことなくファンに支持され続け、誰も歩んだことのない「坂本冬美」の道を歩んできた方なんだと、その歴史にありがたさを感じつつ、今、これからその坂本冬美さんの最新の姿が見られる自分の幸せで胸がいっぱいになります。

ナレーションはなかったような。BGMは生演奏だったように思いますが、ジャケットが出るたびに、その歌が頭を占領するので記憶にありません。

あばれ太鼓のジャケットが最後に出ると、拍子木が鳴りました。

歌舞伎とかの緞帳が上がるときに鳴る、あれです。

まさか。裃姿で出てきて「古今東西~」からはじまるご挨拶とかしちゃうの??まさか?まさか??

と思っていると薄幕が上がり、なんと振袖姿で段もない赤幕の上に冬美ちゃんが頭を下げて正座しています。

マイクを持って顔を上げると、「坂本冬美でございます。」からはじまったと思いますが、普通に話す口調で「これまで歌ってこられたのは、皆様のおかげです。」という感じでご挨拶。

ヒット曲の数々をジャケットで見てからだったこともあり、大スター登場なのに、なんて腰の低いスター様なんだろう。それもまた冬美ちゃんらしい。

ひとしきり、ご挨拶を終えると舞台後方で宝さんが大団扇太鼓(新品)をドドーーーーン!!

冬美ちゃんもいつの間にか立ち上がって、下手側にある太鼓に向かいます。

おおお。30周年だから大サービス♪冬美ちゃんの太鼓姿が拝めるのね!とうれしくなります。

お着物は昨年の紅白で着ていた黒に金の波が描かれている振袖。

その振袖姿で太鼓に向かって構えるこの姿。

坂本冬美にしか出せないこのシルエット。

冬美ちゃんがドドーン!と叩きはじめると同時に大きな垂れ幕が4本同時に舞台後方に下りました。

そこには

「 坂 本 冬 美 」

の四文字が一文字づつ冬美ちゃんの書で書かれています。

かっこいい・・・・

「さぁ、今日はしっかり私の歩んだ30年の道をお見せいたしますから、どうぞご堪能ください!そうです。私が坂本冬美でございます」

そんなかっこよさです。

振袖を大きく揺らしながら叩く太鼓。気合を入れながらも、叩きなれたあのフレーズの途中にはおどけた表情で和ませてもくれます。もはや、お家芸。

太鼓を叩き終えると、ゆっくりと舞台中央まで移動し、とてもとても聞きなれたあの声で

「みなさん、お手拍子をお願いいたしま~す」

会場いっぱいのお客様から、大きな手拍子を浴びながら歌う姿の堂々としていることといったら、大御所演歌歌手そのもの。

舞台のセットもシンプルで左右対称。

振袖の両手を広げた冬美ちゃんのこのシルエットも坂本冬美にしか出せません。

威風堂々。

歌い終えるといつものご挨拶。

少しよそ行きの表情をしたかと思えば、人懐こいいつものコンサートの表情にもなり、初日の緊張感というよりは、準備してきたものを披露できてうれしい♪そんな風に感じられました。

「まずは猪俣先生に頂いた曲を聴いてください。」

たぶん、昼は曲目紹介はなかったと思います。

祝い酒、男の情話、能登はいらんかいね。

祝い酒はこの衣装で紅白に出場していますから、ホームに帰ってきてただいま~が聞こえてくるように感じました。

男の情話は前奏ではセリフ入り、間奏は冬美8連呼の余白がある直近のコンサートと同じバージョンです。以後、皆さんの掛け声もお願いします!

能登はいらんかいねを歌い終えるとスススっと上手へ。

一瞬の無音でセットチェンジ。

カンカンの前奏リフの後、後方上手から冬美ちゃんが蛍の提灯の
「女のほうから通っていくなんて」のセリフとともに走り出てきました。

早い!!

移動もあって前奏もほぼないのに、前回構成の「おとこの劇場」前の早替えよりも短い間に、髪型もお着物も替えて走り出てきたのでビックリしました。

中央まで移動し、真ん中に作られた大きな階段を下りはじめると、お着物の膝あたりに般若面の柄があります。

お。これは大好きな「羅生門」も歌ってもらえるんだ♪と小さくガッツポーズ。

蛍の提灯のかわいらしさには、ちょっと般若は怖いかもですが、くるくると回りながら歌う冬美ちゃんを見ながら、だからといってピンクの着物で蛍の提灯を歌うのも、今はちょっと違う気がするからこのほうがしっくりくるなぁ。なんて思っているうちに蛍の提灯が終わっていました。

はにかむ表情の蛍の提灯とは打って変わって勇ましい表情で羅生門。

好きなんです。やっぱりこの羅生門の冬美ちゃんが切れるほどの表情で見えない敵と戦うような、この姿がかっこいいんです(悦)

歌い終えるとサッと捌けていきます。

ここでバンド紹介。

イントロから、聞いたことあるようなないような。なんだっけ?ソーラン節?なんて思ってたらアジアの海賊でした。

夜の部は知っていたからか、演奏がちゃんとしたからかわかりませんが、すぐにアジアの海賊だとわかりました。要練習!!!

キーボードのフレーズを聞くと、パチンカーのみなさんはCR坂本冬美の時短「アジアの海賊モード」を思い出すに違いありません。わかる人だけわかればいい・・・

今回からバンドさんが半数入れ替わり、パーカッションとトロンボーンがなくなって、あとは人が変わって、位置がパーカッションのところがバイオリンでした。

プロだから・・・坂本冬美さんは日本を代表するアーティストだから、まだ慣れないはいいわけにはならないと、いつも初日はそう思ってしまいます。

しっかりせー!!

さて、気を取り直して「また君に恋してる」のイントロです。

今回はどんなドレスで登場してくれるのか、期待が膨らみます♪

上手後方からの登場で、ライトが当たるとドレスは高貴な紫!パープル!!

以前だったらひっくり返るほど驚いた胸から上のないロングドレスにストールをひじにかけての登場です。
腰からはさらにオーガンジーを垂らしての完全なる正装。

ティアラをしていたかどうか覚えていませんが、私には女王様のように見えました。

特に夜の部は(昼の部もそうだったかもしれませんが、見惚れていて覚えていない)中央の階段をまっすぐには下りずに、左右にゆっくりと歩く姿が民衆に顔見せをする女王様のようでした。

マーメイドラインのピタっとしたシルエットが大好きですが、30周年記念という今回のコンサートの趣旨だと、あまり体の線を出しすぎず、高貴なシルエットのこのドレスがピッタリだと思いました。ものすごく美しくて、肌は魅せているのにいやらしくなく、やはり堂々としていて、ドレスに於ける冬美ちゃんのまた新しいイメージを魅せていただきました。

当然ながら、客席のあちこちから「きれい!」の声。もちろん、私も言いました♪

客席から「回って見せて!」の要望にクルリと一周してくれたり大サービス♪

「背中もきれい!」と掛け声したらすかさず「塗ってるからです!」と答えて笑いを誘っていました。

夜の部では、結婚ネタのMCをしていた冬美ちゃんに、最前列のおじさんが「(結婚しなくて)かわいそうに」と言いました。
冬美ちゃん「え?今までいろいろといわれてきましたが、今のかわいそう。が一番堪えました。(苦笑)」

なんて失礼なヤツなんだ!成敗してくれる!!と思いつつも面白かったです。が、本当に失礼です。

その後の冗さんとのトークでも嫁ネタになったときに「さっきの言葉よりは大丈夫ですが・・・」と言っていましたので、「もらったるでぇ~」は笑えても「かわいそう」は笑えませんから以後言わないように!!かわいそうじゃないし。ったく。

えっと。冬美ちゃんもこの会話のあと、何を話すか忘れてしまっていました。
確かに意識がほかに向かうと記憶が飛びますね(w

で、え~~っと。

愛の詩の説明があり、

「今愛する方のことや、もう遠くに旅立たれた方、みなさんの大切な方を思い浮かべながら聞いてください」

と言って、愛の詩でした。

そう言われて思い浮かぶのは冬美ちゃんのことばかり。

♪いつも 見ていてください 
 私を みていてください♪

に、「ずっと見てるよ~~~!!」

と心で叫びつつ、気持ちのいい歌声にすべてのトゲを溶かされていきました。

薄幕が下りて・・・

「語り・坂本冬美」かな?語りじゃなかったかもしれませんが、冬美ちゃんの名前が一番に映し出されたと思います。

で、冬美ちゃんの声で、二葉先生と出会ったことが説明され先生の顔写真。

その後、梅川忠兵衛のあらすじをイラストってゆーとちょっと軽くなっちゃいますけど、絵と冬美ちゃんの語りで進んでいきます。

2年くらいは梅川忠兵衛を聞いていたのに、改めてあらすじを聞くと、そういうことだったのかぁ。とよくわかりました。

冬美ちゃんが登場しての最初の

♪雪のふるさと 落ち行く影は
 死出の晴着の 梅川忠兵衛♪

も、この解説を聞いておくことでスッと歌詞としてというか音じゃなくて意味がわかってスッと入ってきました。今まで何を聞いていたんだか・・・

セリフや浪曲、歌の部分すべてにおいて同じような印象で、以前は部分部分の音の波みたいなものを聞いていて、そこの部分が印象に残っていたのですが、今回はスっと全部が引っかかりなく入ってくるといいますか。

梅川忠兵衛は久しぶりなのに、その間ずっと空けずに歌謡浪曲をコンサートに入れて15年。梅川忠兵衛の再演も7~8年ぶりくらいでしょうか。

着実に冬美ちゃんの中に歌謡浪曲が時間をかけて染み込んでいったんだなぁ。と思わずにはいられません。

ラブソングスシリーズも6作。それで愛の詩が歌えるように、楽曲そのものではなくても通じるものを時間をかけて自分のものにする。冬美ちゃんの30年はその積み重ねでできているんだと改めて感じました。

最後のセリフのところが以前から大好きなのですが、そのセリフ部分だけでも男女の声が入り混じるような、とても複雑でそれでいて表現力を最高に感じました。

すごいな。なんだろう。言葉にできない感動は。。。そんな感じでした。

冗さんが登場して、いつものご挨拶。
新しい鉄板ネタを披露していて、今年いっぱい聞くネタですから書きません(笑)

冬美ちゃん登場。

風うたのジャケット写真のお着物の柄をモチーフに、黒部分を広げてステージ用にテラっと光る生地の振袖姿。

新曲やテレビ出演のお話しなどされていたと思います。

北の海峡のお話をされてそのまま歌へ。

これが、雪が降ってきてドラマチック。

コンサートで聴いてみると、確かにこのようなジャンルの持ち歌がなかったのですね。

バリバリの勇ましい男歌、情念の女歌、ロックにレゲエにサンバにポップスに人生の応援歌とシングルだけを見てもバラエティに富んでるので、あるように錯覚してました。

冬美ちゃんは、片想いでいいや愛の詩のメロディに「演歌にないフレーズがあって苦労する」とおっしゃいますが、逆に私は演歌を冬美ちゃんのものしか聴いてこなかったので、北の海峡は今もメロディが覚えられないのです。

でも、無理やりに覚えるのではなく、毎回テレビで、ラジオで、コンサートで、もちろんCDでも聞きながら、自然と口ずさめるようになってジワジワと自分に沁みてくるのがまたうれしいのです。

私の場合は演歌は繰り返し聴くほど馴染んでくるもので、演歌以外は繰り返し聴きすぎると飽きるもの。のような気がします。

そんなわけで、何回目かの北の海峡を新鮮に聴きました。

たいていは、新曲の後は能登はいらんかいねでクールダウン。なのですが、今回は前半で歌っちゃったし、どうするんだろう?と思っていたら、まずMC。

「みなさん力入ってく~~~っとなってきていると思いますので、背伸びするつもりでよい歌があるんです。男の火祭りといいまして・・・」

おお。その手があったか!

客席とあっぱれ!の練習を重ねてから男の火祭り。

毎回思いますが、この「ソーレ!」への参加率の高さは気持ちいいですね♪

最後の「ソーーレーーー!!」をした後に暗転して、なんと夜桜お七の前奏!

威勢のいい男歌から、粋でイナセな八百屋お七に大変身。

これがまた新鮮なんです。

同じ歌でも、ポジションというかコンサートでの構成の位置によって、こんなにも変わるものですかねぇ。すごい!!

この辺りも生で見ないと感じられない言葉にできない部分です。

夜桜お七は曲と曲の間に挟まることの少ない歌といいますか、オープニングか中締めか、2幕の幕開けとかエンディング。みたいな節目が多いので、前回あばれ太鼓が風うたの後になったときに、しっとりとしたあばれ太鼓になったのに似ています。
ザ・坂本冬美っていうアイコンのような曲としてはよく聴いているけれど、今回のように挟まると、歌の内容が入ってきまして、歌い方を変えているのか、感じる方の気持ちのせいなのかはわかりませんが、特別な歌というより、この曲、いい歌だなぁ。って感じで聞こえてきました。

あ。何を言ってるかわからないですよね。
驚くべきことに、夜桜お七のすぐ後に連続して火の国の女だったんです。

わおわおわーお!

すごいこってりして胃がもたれちゃうのかな?と思ったらそんなことなくて、夜桜お七と火の国の女はどちらかといえば(コンサートに於いて)似ている位置づけの曲だと思っていたのですが、並べることで、ずいぶん違うじゃ~~ん。ということに改めて気づく。そんな感じでした。

はい。わからないですよね。これも体感しないと伝わらないと思います。

演出も豪華で、火の国の女の最初の紙吹雪に鳥肌立ちました。

だいたいコンサートは2曲か3曲歌ったらMCか衣装替え。ってなって、衣装によって勝手にそれを○○コーナーって言ってるのですが、前回だったら男歌コーナー、また君コーナーorドレスコーナーみたいな。

そのなかでまったく系統の違う曲を同じ衣装で歌い分けるのが、もっとも難しいのではないかと思っておりまして・・・

男の火祭り→夜桜お七→火の国の女 

この3曲連続は本当に斬新なんです!!

蛍の提灯→羅生門

も斬新なのですが2曲ならまだある。だけど3曲で、しかも夜桜と火の国が連続って!!超豪華!!夢の競演。ドリームマッチ。そんな感じです。伝わらないかな・・・でもすごいことなんです!!

で、最後のMC。

ドリームマッチの直後ですから、客席からはこのMC中に

「アンコール!!」

の声がかかりました。すると冬美ちゃん、ニヤリの表情で

「あと一曲あるとおもうでしょ?普通はそうなんですよ。でも30周年ということで、あれもこれもと思っていたら、最後の1曲ではなくて2曲になってしまいました。」

会場、大うけ。ファミリー濃度が高いからこそドっとウケてました。

冷静に考えればそうなんですよ。風うたモチーフのお着物ですから風うたはあるんだし、風に立つを30周年で歌わないわけないんです。
でも、あと1曲かな?と思っちゃうのは、その直前のドリームマッチがそれだけ豪華だからなのです。

そして、風うたと風に立つ。

あれだけの内容が盛り込まれているのに、コンサート後にはとても穏やかで幸せで、生きていてよかった。冬美ちゃん、ありがとう!!の気持ちでいっぱいになるのは、このラスト2曲の素晴らしさによるところも大きいと思います。

風うたは2番がなくて、ずっとフルコーラスだったので短く感じましたが、そのかわりに風に立つが1番、2番、3番のフルコーラス!!!

これもファミリーにはたまりません!!

先日の人生を支えたワンフレーズのアンケートでもダントツのトップは風に立つからの歌詞で、しかも全員が「そうさ、人生やるっきゃないさ」じゃないんです。「心に錦の華をもて」とか、「それでも行かねばならぬ道」、「たじろがず、くじけずに前だけみつみ行くがいい」etc・・・
そうなんです。風に立つはすべてのフレーズがファミリーの心に沁みこんでいて、フルコーラスを待ちわびていた方も私を含めてとっても多かったと思います。

さっすが冬美ちゃん!!とそのスタッフ!!

うれしい♪うれしい♪うれしいです!!

そんなこんなで、30周年記念コンサートはオープニングで予感した通りに、坂本冬美の30年を何も隠さず、堂々と「これが坂本冬美です」と魅せて聴かせてくれる最高のコンサートでした。

特筆すべきは・・・この多彩な世界観をすべてオリジナルのシングル曲で構成していることではないでしょうか。
歌謡浪曲は別ですが、また君に恋してるは冬美ちゃんのオリジナルです!(きっぱり)

30年のうちに1~2枚代表的なアルバムがあった。とかじゃないんです。

1年1年、1曲、1曲を真面目に真摯に本気で歌い抜いて「坂本冬美」を作り上げてきた。
そんな年輪を感じ、100年杉から感じるような不思議なパワーが冬美ちゃんから感じられました。

そんな高みに上り詰めながらも、舞台に直接正座して始まる30周年コンサート。

どこをとっても「坂本冬美」にしかできないコンサート。

真似のできないかっこよさ。

歌手の「坂本冬美」にも、中身の人「冬美ちゃん」にも、おめでとうございます。そして、ありがとうございます。その気持ちで胸がいっぱいになりました。

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