2011年9月に台風12号が南紀を直撃。
大きな被害をもたらし、直接被害を受けた家屋のほかにも観光地である多くの方々が未だに台風12号の被害に苦しんでいる。
「那智勝浦町復活コンサート」と銘打たれた全員無料招待のコンサートが開催されると知ったとき、「復活」の意味がよくわからなかった。
被災した方々に向けての慰問なのか、観光客に対してのPRなのか・・・行っていいのかいけないのか・・・だいたい、那智勝浦ってどこだろう。白浜の近くだよね。
そんな感じに思っていた。
昨年の9月2日には冬美ちゃんの故郷凱旋コンサートが白浜の紀南文化会館で開催され、おそらくは「おかえりがおまもり」の初披露となるそのコンサートには私も行っていた。
前日からの台風で、東京からの白浜行きの飛行機は全便欠航。関空からバスで和歌山市内へ。そこから紀勢線での長旅となった。
暴風雨の中移動しながら、白浜から羽田への直行便がない頃、冬美ちゃんの故郷から東京はさぞかし遠く感じただろうなぁ。などと思っていた。
コンサートが終わっても暴風雨は続き、翌日には河内長野に移動する手段が車だけになっていた。
海は大荒れでとても怖く、紀ノ川の濁流はアマゾン川のようだった。
それでも、大きな被害でこれほどの大災害になってしまったと知ったのは、東京に帰ってきて落ち着いてからだった。
冬美ちゃんが「おかえりがおまもり」のジャケットにした子供の頃から遊んでいた「赤橋」が流されたと知って、やっとこの被害を身近に感じることができた。
冬美ちゃんが故郷に即義援金を送ったとニュースで知り、その際になんでもできることを協力したい。力になりたい。と言っていると知った。
NHKの番組でも小林幸子さんと故郷を訪れ、仮設住宅で暮らす方々に歌を届け、なくなってしまった赤橋を前に絶句する様子が放送されていた。
コンサートでは、テレビでは新曲として発売された「おかえりがおまもり」を歌う前に「故郷や、母を思い浮かべて聞いてください」と言ってから何度も歌っていた。
つらいだろうなぁ。
聴きながら、何度かそう思っていた。
こんなことがあっての、「那智勝浦町復活コンサート」
ただただ冬美ちゃんに会いたいという気持ちもあるけれど、冬美ちゃんがどんな想いを伝えるのか、集まった方々がそれをどう受け止めるのか、その場でどうしても感じたい。と思った。知りたい。というただの欲望だった。
復活コンサートが行われた経緯はわからないが、冬美ちゃんの同級生はじめ地元のお友達が被害を受けた那智勝浦町にボランティアで協力をする中、冬美ちゃんも何か協力したいと申し出ていて、それが町民を招待としてのコンサートとしてやっと実現した。ということのようだ。
2000人の招待なので1枚で2名入れる当たりは1000人分。それに大して応募は7000人あったという。
コンサートは13時からだったが、ハガキと座席の引き換えが10時から始まるというので行ってみるとすでに長蛇の列だった。
少しづつしか進まない列に、通常のコンサートとは違って、慣れないスタッフが手作りで運営するチャリティコンサートなんだろうなぁ。と感じた。
席はランダムな抽選で、15列目くらいだった。
開演ギリギリまで那智勝浦観光をして入場すると、気持ちいいくらいギッシリとお客さんが座っていた。超満員。
会場は大きな体育館で、2000人とはいうけど、3000人以上には見えた。
アリーナ席もずいぶんと後ろまであり、スタンド席も横も奥もあって・・・
横浜文化体育館クラス(格闘技好きにしかわからんか・・・)
バレーボールをやるような体育館のイメージかな。そのコートの部分がとても広くて全部がパイプイスで埋まっている。
ステージは幕が開いていて、学生時代の校長先生の話を聞く始業式を思い出す・・・
司会の冗さんが登場して、町長さんを呼び込みご挨拶。
町長さんも
「この体育館にこんなに人が集まったのは・・・・初めてかもしれません。」
と冬美ちゃんがイベントを開催したことへのお礼の言葉がありました。
あと、
「年末の紅白で、みんなが東北大震災の被害のことを言うなかで、冬美さんだけが台風12号と和歌山の被害のことを言ってくれた。ここも被害を受けて支援が必要なことを全国の皆様に言ってくれて、とてもうれしかった」とも。
それから復興計画全般に携わっているボランティア団体さんのメンバーからご挨拶。
力強く前向きに復興にあたりたいこと、協力して欲しいことがあったら声をあげて欲しいことなどがアナウンスされていました。
舞台の奥にはLEDパネル。コンサートでも使用されているものです。
冗さんの紹介で冬美ちゃんが登場。
LEDパネルには「風に立つ」
バンドさんはいないので、カラオケですし、セットがないので広い舞台に冬美ちゃんが一人です。
客席にはぎっしりのお客さんで、招待とはいえ期待でいっぱいの雰囲気で冬美ちゃんを待ちわびてずいぶん長いことまっていたような空気。
カラオケでもバンドさんでもセットがあってもなくても、冬美ちゃんさえいればいつもどおり。と思っていましたが、はじまってみるとかなりのアウェー感。
舞台演出があって、バンドさんがいてコンサートなんだなぁ。なんてことを感じました。
正直、「このままで大丈夫?」と心配になりました。
曲順が思い出せませんが、祝い酒、あばれ太鼓だったかな?
トークのあとに2~3曲を客席に下りてずいぶん長い間お客さんと握手をしながら歌い続けました。
静かだった会場も少しづつほぐれてきて、「キレイねぇ」「うまいねぇ」の声が聞こえてくるようになりました。
冬美ちゃんが手を振れば振り返しています。
まだ舞台に戻れない位置で曲が終わると、舞台上に現れた冗さんに
「私はまだ戻れないので、次のコーナーの説明をお願いしますよ~」
冗さんの説明で、会場の希望者3名とカラオケをデュエットするとのこと。
ファンの集いのようです。
10代の女性を年配の女性と、町長さん推薦の男性職員の方が選ばれました。
カラオケが運ばれ、お客さんが希望曲を言うと、冬美ちゃんがカラオケの選曲表?ブックを持って探そうと一生懸命見ています。・・・・なんで大スターの冬美ちゃんが素人さんの曲を探してるんだ・・・
それでもしばらく探していましたが、よく考えたら自分で探したことなかったことに気づいた。とでも言いそうな表情で(見えてないけど、心の目で見た表情ですが)
「見つけられないですから、どなたか探していただけますか~?」って。
そりゃそうでしょうとも。
冗さんの名トークで大爆笑で3人が歌い、冬美ちゃんも大サービス。
女の子が「また君に恋してる」年配のきみちゃんという女性が「東京ナイトクラブ」。冬美ちゃんは男性役でしたから最初はうまく入れず、その姿も笑いを誘っていました。
トップスターがデュエットで男性役を歌うことってないだろうなぁ・・・
職員さんの男性は・・・あれ、?なに歌ったっけな?居酒屋だ!!
なかなか冬美ちゃんのほうを見ないので、間奏のときに冬美ちゃんが
「デュエットなんで、ちょっとはこっちを見てください!」
というと、こんどは見つめすぎ(笑)
テレながらも冬美ちゃんに熱い視線を送り続ける様子に、歌い終わってから
「あと一曲歌ったら、どっかのクラブのママさんと勘違いされちゃうとこでした」
みたいなコメントをしていました。
着替えてきます!と退場し、その間、冬美ちゃん25年のコンサートでも流れるVTRが流れ、赤のあの衣装でまた君を歌いながら冬美ちゃん登場。
おかえりがおまもりのことをどうやって説明したんだっけなぁ・・・思い出せない。もっと早くレポ書けばよかった・・・
一昨年の12月に上富田でテレビの企画で歌って、それが昨年2月に放送されて好評で。
9月に発売したんだけどそのときにジャケットに使った赤橋が台風12号で流されてしまって。
特別な思いがある歌だ。というようなことを言っていたと思います。
あ、思い出してきた。
よく、芸能人なんだからお正月にハワイにいかないでなんで和歌山に帰ってくるの?といわれるんだけど、私は一年に何回でもこの故郷に帰ってきたい。故郷に帰ることでパワーがもらえる。そう思っています。
被害を受けたふるさとにどうにか恩返しをしたいと思っていましたが、毎年お正月に帰るからそのときにコンサートができると。決してついでじゃないんですよ(笑)そうじゃないですが、毎年こうしてお正月に帰ってきているときならできるので・・・たくさんの方々にご協力いただいて今日実現できてとてもうれしいです。
たぶん、このあたりのお話をしてからおかえりがおまもりだったと思います。
冬美ちゃんが歌い終わって・・・記憶がないなぁ。
冗さんのトークがあって、夜桜お七を歌ってからかな?それともこのタイミングでだったか定かではありませんが、とにかく二葉先生の登場がありました。
ドレスでは出迎えていなかっただろうから、トーク→夜桜→先生かな。
冗さんのトークも印象的だったのでレポります。
おかえりがおまもりが歌われた一昨年の上富田でのホールでのこと。
歌う前に冬美ちゃんが話したことが印象に残っているとのことで教えてくれました。
実家に冬美ちゃんが帰って、ペットボトルの水を飲もうとすると、お母さんが冬美ちゃんに
「そんな水を飲まないで、ここのお水を飲みなさい」
と言った。というのです。
アルプスの水とか富士山の水とかいろんな名水はあるけれど、自分の生まれ育った場所の水や、そこで採れたものを食べているのが一番からだにいい。そう思った。というお話だったと。
そのあと、おかえりがおまもりを歌い始めたら涙が溢れて歌えず・・・
一度、メイクも直して歌いなおした姿が放送されたんだとか。
順番はともかくとして、二葉先生がサプライズ登場!!
冬美ちゃんと一緒に登場したような気がするなぁ・・・
やっぱり、ドレスでお迎えにいって、二葉先生が歌っている間に夜桜のお着物に着替えていたんだったっけな。
とにかく、二葉先生が登場!!
冬美ちゃん自身が紹介していたなぁ・・・
私のとても尊敬する方で、今回、このような機会でコンサートをさせていただくということをご報告したところ、是非参加したいとおっしゃってくださって・・・
すでに昨年引退なさっているのですが、今日は特別に歌っていただけるということでいらしていただきました。
というような紹介でした。
二葉先生が舞台に登場するとこの日一番大きな拍手。
長い芸能生活の中でもこの地がはじめてという二葉先生。
東北でも慰問をされていたようですが、ホールで歌うのは引退後初めてとのこと。
岸壁の母を歌ってくださり、LEDパネルには引き上げ船の画像。
歌を聴きながら、二葉先生の志の高さに、その師匠に出会えた冬美ちゃんの幸運に、そしてその冬美ちゃんを知ることのできた自分の幸運に、とてもありがたいご縁に感謝の心で満たされました。
二葉先生がご自身で線を引かれて引退したということよりも、自分が歌うことで喜ぶ傷ついた方がいるなら歌いましょう。という志。
その心ごと受け継ぎ、継承するようにこのような招待コンサートを開催する冬美ちゃん。
歌だけでなく、技だけでなく、その心を受け継ぎ実践するお二人の絆に深く深く感動しました。
岸壁の母の歌の内容に感情移入をしたのではなく、とにかく高貴な志に触れられた感動で、涙が出てしまいました。
なんだか、この場にいていいのかな?とか、東北や和歌山や・・・昨年は大変なことがいっぱいあって、そんな中、自分は遊んでばかりでいいのかな?ダメだよね。でも、どうしたらいいのかわかんない。普通に生活していることすら申し訳ないことなの?とかとか。
いろんなことを考えることもあったけど、私は私でしっかり自分の目の前の仕事をして、しっかり稼いで、遊んで経済貢献できれば、それで何もしないよりはいいんだ。そう思えました。
日常から飛躍したことを始めることだけが復興への協力ではなく、日常を今まで以上にマジメに真剣に過ごすことでできる貢献もある。そんな気持ちが強くなりました。
無力感に苛まれ、自信を失い、落ち込み、動けなくなったことはここ1年でみんなに訪れた感情ではないでしょうか・・・それを前向きにするのが歌であり、感動であり、冬美ちゃんや二葉先生にしかできないことなんだ・・・そんな風に感じました。
二葉先生の歌を終わると・・・
やっぱり夜桜があってから先生で桜の如くだったような・・・
あばれ太鼓も夜桜も風に立つも出ちゃって、冬美ちゃん最後に盛り上がる歌残さなくて大丈夫?って勝手に心配してたら、桜の如くで・・・あ!!これがあったか!と思ったような・・・
紀ノ川、火の国の女。
この最後のたたみかけで、1曲本気で歌えば、このキャパの客席を全部集中させて歌の世界に引き込めるのかぁ・・・と感心してしまいました。
コンサートホールではなくて体育館。チケットを買ったのではなく招待客。バンドさんも舞台セットもない中で、客席の視線も心も冬美ちゃんの歌にしっかり集中していて、その歌声からたくさんのパワーを受け取っていることがわかりました。
本当にすごいことだと思います。
「歌うことしかできませんが」という冬美ちゃんの謙遜の言葉が、このときばかりは自信の言葉に聞こえます。頼もしく、力強く、果てしなく大きな愛を感じます。
最後は二葉先生にも再登場してもらっての「関東一本〆」でお手を拝借。よぉ~~~~!パン!!で締まりました。
客席に集まった那智勝浦の町民の方々は、和歌山の人らしく控えめで自己表現は苦手なようで盛り上がるというわけではありませんでした。
でも、しっかりと冬美ちゃんや二葉先生やこのイベントを実現させたスタッフの方々の愛を受け止め、明日への強い決意を持って会場をあとにしたと確信しています。
私の住む東京からは遠いところで起こった災害です。それでも身近にその災害を感じられることは冬美ちゃんのファンになっていたからです。同じように感じる無限の方々の力があれば、きっと少しの力にはなるはずです。
みなさん、那智勝浦に行きましょう。白浜に行きましょう。東北に行きましょう。遊びましょう。食べましょう。宣伝しましょう。想いましょう。
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コメント
_りんさん〜レポ書いてくれてありがとう!今さらってとても申し訳ないですが……読み始めたら涙がぽろりと落ちた…その場の雰囲気を伝えてくれてありがとう。
一人である無力感はしますよね……私も、学生でいながら頑張ってバイトをし、日本中あちこちに出掛け、経済に貢献したいと思うのがちょっと偉く感じさせるかもしれないですが…本当に力になりたいです。
冬美ちゃんの心はなんて優しいだろう〜そんな冬美ちゃんを見て、自分も更に頑張らなきゃとも思うようになるのです(^^)