毎年、この時期に開催されている「LIVE for LIFE~音楽彩」
アイドルからミュージカルスターの道を歩んだ本田美奈子さんと親交のあった歌手の方や、両ジャンルで現在活躍されている方などが毎回ゲストとして参加し、美奈子さん縁の楽曲やこのイベントの趣旨に合う楽曲を披露します。
ここ数年は前半がミュージカル系の方、後半にアイドル系の方。
毎年観にいっている方が多いのではないかと思う客席は、美奈子さんのこのイベントを通して年に1度全く違うジャンルの歌を聴く。という私のような人が多いのではと思います。
冬美ちゃんが「演歌系からはひとりで参加ですが」と表現するのは、「ミュージカル系」でも「アイドル系」でもない。という意味だと思います。
今年は、初めてミュージカルナンバーに挑戦する。ということが発表されていましたが、歌う曲は知らされていなかったので、美奈子ちゃんの代表作品である、レ・ミゼラブルかミスサイゴンからのどの曲になるのかわかりませんでした。
もともと、私はミュージカルを見ていませんので、レ・ミゼラブルはミュージカル映画で楽曲は知っていましたが、この音楽彩を毎年観ることで両ミュージカルの楽曲を知っておりました。
3名のアカペラグループによる「アメージング・グレイス」(これも美奈子ちゃんの代表曲で音楽彩のメインテーマ曲です)で幕があき・・・・あ。その前に、湯川れい子さんと服部克久さんのご挨拶がありましたが。
その後、順番は違うかもですが、美奈子ちゃんがかつて演じた役につくことが多い。というミュージカル界からの後輩、知念里奈さん。
宝塚ご出身で今年からミュージカルデビューしているというとてもキレイな容姿とお声の蘭乃はなさん。
アイドルからミュージカルに移行した安倍なつみさん。
みなさんキレイな高音を響かせながら、美奈子ちゃん縁の歌を披露されていきます。
知っているミュージカルの曲が少ないので、1曲ごとに
「それ歌っちゃうの?じゃぁ、冬美ちゃんは何を歌うんだろう・・・」
「そんなに上手に歌うの?いつも舞台でミュージカルをしているからこの曲はホームなのか・・・」
「容姿と歌声を兼ね備えた方ってこんなにいるの?冬美ちゃんが特別ではないの?」
などと、このあとに登場するであろう冬美ちゃんの初挑戦の心配が浮かびます。
暗転のあと、シルエットでも緊張がわかる歩き方で冬美ちゃんが登場!
とても声をかけられる雰囲気ではありません。
どんなライティングだったか記憶にありませんが、心の記憶としては、真っ暗な舞台に一人立ち尽くし、マイクを握りしめ、まっすぐ前を向いて歌いだしたように思います。
今までの方に比べて、かなりの低音。曲は「命をあげよう」
テーマがとても重いので、歌詞のひとことひとことが轟くように伝わります。
何度かこのイベントで聞いていた歌ですが、どのミュージカルのどんな場面の歌か知りませんでした。
それでも、母が子を深く想い、自分の命と引き換えに子供に命をあげるよ。と言っている内容は充分に伝わり、もっと感じたのは、本田美奈子さんのミュージカルも観ていなのに、美奈子ちゃんがこの歌にどれほどの魂を込めていたのか。こんなに冬美ちゃんが真剣に会場中に轟くように歌うことで美奈子ちゃんの真剣さの代弁。
曲の内容ももちろん、それを歌ってきた美奈子ちゃんの想いも、今もこうして集まる美奈子ちゃんのファンへの美奈子ちゃんの想いも、もちろんご家族の想いも、何もかもをいったん自分に入れて。それを自分の歌のパワーを通して表現してくれている。
言葉にするにはやはり難しいですが、冬美ちゃんの背中にたくさんのものが入って、それが前面から放たれているような。そんな「気」が見えたように思います。
観客は誰一人ピクリとも動けず、歌声というにはあまりにも衝撃の強い波動のようなものに満たされ、迫力に圧倒され、息を飲んで見守ることしかできません。
私は身体中の毛穴が開くような感覚になり、顔面に汗が出て、手は握っていないといられないような。
驚きと衝撃。のほうが感動という言葉よりは近いと思います。
さらに、ラストに「命を あげるよ」というところがあるのですが、その一番最後がまた今までには聴いた事のない力強い声で、張り上げるでもなくまっすぐに、でもどこまでも、いつまでも轟く声。
歌い終えると観客からは大拍手。
歌い終えたご本人は倒れそうに、いつもに増して真っ白なお顔でヨロヨロっとしながら舞台中央からMCの早見優さんに向かって歩きます。
早見さん「ちょっと・・・大丈夫でしょうか・・・」
冬美ちゃん「いいえ。大丈夫じゃありません。見てください。震えがぜんぜんとまりません」
早見さん「袖で見ていても、涙が出てきてしまって・・・」
冬美ちゃん「今、血圧が・・・50くらいしかないような。倒れてしまいそう」
早見さん「はじめてのミュージカルナンバーということで緊張されているとは聞いていましたが」
冬美ちゃん「緊張は普段からするタイプなんです。でも今日は・・・美奈子ちゃんが挑戦し続けたように、私も見習ってミュージカルナンバーに挑戦させていただきました。」
早見さん「最後の声がすごすぎて。全部を出し切るというのはああいうものかと」
冬美ちゃん「内臓が出るかと思いました(笑)」
早見さん「出なくてよかったです(笑)」
このあたりでやっと冬美ちゃんに笑顔が出て、早見さんにも笑顔が♪
会場も重く張り詰めた空気から一気にあたたかくやわらかく変わります。
冬美ちゃん「今日は、もう、これで終わった~~~~という感じで」
早見さん「いやいや、後半も出ていただきますので」
冬美ちゃん「ええ。でも燃え尽きました」
早見さん「みなさんもみていてすごかったですよね?」
<客席から大拍手>
早見さん「今日は、笑い上戸な美奈子ちゃんが喜ぶように、みなさんに面白いお話をきいているのですが・・・」
冬美ちゃん「私、温泉がすきなんですね♪・・・・・(鉄板ネタ披露)」
会場、ほっこり大爆笑。
ちなみに、同じフリで各アーティストに面白ネタを聞いていましたが、しっかり対応できたのは冬美ちゃんともう一人だけでした(w
かなりの余韻を残して冬美ちゃん退場。
その後はソプラノ歌手の方かな?で、となりのトトロがあったり、いろいろな方が続いていましたが、冬美ちゃん同様に抜け殻になった耳と心では、正しくは入ってこなかったです。
休憩を挟んで後半はアイドル時代の美奈子ちゃんの楽曲をスタンディングで聞いて騒ごう。のコーナーが例年なので、楽しく過ごし、最後には松本伊代さん、早見優さん、森口博子さんの3人で「oneway generation」を振りつきで披露。
客席とのコール&レスポンスで一気に盛り上がり、「ありがとうございました~~~~!」的に終了。
そこに司会の早見さんだけ残っている状態でお着物姿の冬美ちゃんが再登場!
冬美ちゃん「すいませんねぇ。盛り上がってるところに出てきちゃって。みなさん楽しそうにワンウェイ!ジェネレ~ション!ってやってて・・・袖ではちょっと一緒にやらせてもらっていたんですけど。みなさん、これでアメージンググレイスでエンディングって思ってたでしょ?ごめんなさいねぇ。場違いで。」
この遠慮がちかつ、その場の空気を読む力も冬美ちゃんの大きな魅力です。
早見さんと、来年はアイドルコーナーへ。まずはボックス踏めないと。んじゃ練習してきます。みたいなトークがあり、話題は「この歌を for you」に。
もう一曲「風うた」も歌うことになっていて、エンディングのアメイジンググレイスを除くと最後の歌が自分の新曲であることが非常に申し訳ない。という話をしていました。
「宣伝と思われたら困るから、そういう気持ちでは来させてもらっていないんです。
ただ、この風うたは人生を振り返り、ありがとう。ごめんね。また会いましょう。って、美奈子ちゃんの30周年にふさわしいと思うので歌わせていただきます」
そんな風に一生懸命話してから2曲歌ってくれました。
最後のアメイジング・グレースでは何かに思いを馳せるように遠くをみたり、いつも通りの冬美ちゃんに戻ってアイコンタクトをしたり、
やっと大役を果たしてほっとしたように見えました。
「私は生きたい 凛として」
「俺がやらなきゃ 誰がやる」
そんな歌詞がかっこよく歌えるのは、冬美ちゃん自身がやらなきゃなんない場面にこうやって真っ向から立ち向かうからだなぁ。
そんな人を知る事ができて幸せだなぁ。
そして、美奈子ちゃんが冬美ちゃんにこんなチャンスをくれたんだ。と。
たくさんの想いを胸に、かかえきれないほどたくさんの想いを胸に刻ませていただきました。
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