第一位 「星に祈りを ~猪俣公章作品集」 2007年発売
01 人生花吹雪
02 男惚れ
03 湯の町あかり
04 恋侍小唄
05 オホーツク恋唄
06 雪舞い津軽
07 祝い酒
08 艶花恋
09 夢おんな
10 ひとり寝女の泣き枕
11 男の艶歌
12 能登はいらんかいね
13 すすき川愛愁
14 星に祈りを
有権者の皆様にお伝えしたいのは、このアルバムが冬美ちゃんの20周年の記念として発売されているということ。
冬美ちゃん自身が選曲し、今までの感謝や成長やいろんな想いを込めて猪俣先生の作品をオリジナル音源で歌いなおして収録しているのです。
ベスト盤があまり好きではない私としては、あまたあるベスト盤の何から聴けばいいかわからない方は、絶対にこの1枚を選ぶべきだ!と強く申し上げたい!!
20年の歳月を経て、熟練の域に達し、恩師への感謝を込めて制作したアルバム以上のものがあるわけがない!
そう思うのでございます。
lovesongsシリーズでファンになった方は、人生花吹雪のパンチのある出だしにド肝を抜かれること間違いなし!
冬美ちゃんが自分を「ど演歌歌手だ。」と自認するのはこーゆーことだったのかと目からウロコの歌声です。
新鮮に聴いて頂きたいので曲ごとの感想は敢えて控えますが、よくインタビューで冬美ちゃんが
「猪俣先生は私が一生歌っていけるだけの楽曲を残してくださった」
とおっしゃいますが、このアルバムを聴けば納得です。
19歳や20代じゃ本当の演歌は歌えない。とか、40歳になってやっと演歌が似合ってきた。という発言をされるようになったのも、この頃からだと記憶しております。
表現力と人生の経験が歌手・坂本冬美を進化させ続けているとすれば、20年まっすぐに歌に向かい合ってきたからこそ歌える歌。がこのアルバムにはひしめいています。
そして、このアルバム発売時でさえ
「うまく歌えた歌は1曲もない。」
とどこまでもご自分に厳しい冬美ちゃんに驚き、この方はただの歌手ではなくて歌の道を究めようとする「歌道」の芸術家なんだ。と思い始めたものです。
作られた年代とは関係なく、歌い手さんが命を吹き込めば歌はいつまでも名作であり続けるんだ。とも思いました。
特に演歌の歌詞は、電話のダイヤルを回したり、留守電を聞いたり、ポケベルを鳴らしたりしないので(笑)作られた年代を感じなくて済む普遍性があり美しいです。
五七調の歌詞が全篇通して続き、古典であり、新鮮であり、それぞれの曲にそれぞれの主人公がいて、切なくて強くてはかなくて・・・
冬美ちゃんが愛する演歌って、こういう世界なんだと教えて頂いたアルバムです。
唯一、新曲として収録された猪俣先生の未発表曲「星に祈りを」が、実は都はるみさんが別の歌詞ですでに発表されていた。という出来事がありましたが、それでも都はるみさんにしっかりと許可を頂いて再び歌えるようになった。という経緯があり、この件だけで3時間は語れる冬美ちゃん伝説のひとつとなっておりますが、その件は長くなるので割愛です←書いてるし(笑)
冬美ちゃん曰く、
「1番、3番では伝わらない、1番、2番、3番全部聞かないと伝わらない歌はコンサートではなかなか歌う機会がない」
ということで、名曲や冬美ちゃんが大好きな楽曲でもコンサートで歌わないと置いてけぼりになっちゃうようで。
このアルバムでは、そんな素晴らしい楽曲が新たに命を吹き込まれて「坂本冬美とは何か」を私たちに教えてくれていると思います。
ということで、復帰後からのファンの私が皆様にぜひ聴いていただきたいアルバム3枚でした。
ちなみに、私が一番たくさん聴いたアルバムは「冬美ルネッサンス」ですけどね。
コアなファンになった当時の最新オリジナルアルバムだったからです。
第二位 「浮世草子」2005年発売
01 ふたりの大漁節
02 一二三小唄
03 播磨の渡り鳥
04 浮世草紙
05 お菊(歌謡節入り)
06 女南部坂
07 ひばりの佐渡情和
08 どどいつ
09 恋鼓(こいつづみ)
10 岸壁の母
ふたりの大漁節が若干浮いて聞こえるのと、岸壁の母が初収録されていてちょっと異色ではあります。
有権者の皆様にまず訴えたいのが、このアルバムでの表現力です。
シングル曲である、ふたりの大漁節、播磨の渡り鳥、そして初収録の岸壁の母を除くと、どれも艶っぽく、歌唱技術も非常に高く、その後のカバーアルバムでも活かされる冬美ちゃんならではの表現の宝庫。
このアルバムでしか聴けない表現も目白押しです。
一二三小唄のやさしく色っぽい歌声。
芸者姿の駒子を思い浮かべながら聴いたら最高♪
やっぱ、着物だよね♪とムフムフします。
浮世草子は隠れファンも多い名曲。
冬美ちゃんらしい一曲ですが、なぜかシングルにはならないPOPS演歌のジャンルだと思います。
こ~ゆ~のも冬美ちゃんにしか似合わないんだよなぁ。
お菊とおんな南部坂は物語性が高く、男気ならぬ女気に溢れ、ヨーデル小節が満載。
オリジナルアルバムならではの自由さがあります。
lovesongsシリーズとは全く違った冬美ちゃんの世界観。
演歌ならではなのでしょうか。この時代を超越しても違和感がなく、主人公の気持ちにピタっと寄り添えてしまうトリップ感。
オリジナルアルバムはベスト盤と違って一枚で一作品。
是非曲順を崩さずに自然にその世界観に入っていってこそスムーズに聴けるものもあると思います。
続くひばりの佐渡情話は曲目の通り美空ひばりさんのカバーですが、カバー曲集で聴くのではなく、このアルバムのこの位置にあってこそ自然に馴染みます。
有名な曲だから単体でカバーするのではなく、必然があって気持ちよく入ってくる。
アルバムとしての統一感がこの曲をより自然に聴けるのでアルバムとして名作だと思います。
んで、どどいつ。
この曲もアルバムならでは。
♪ええええ~♪の声が気持ちいい♪♪
恋鼓(こいつづみ)は小椋桂さんの作詞作曲。
この一曲はぜひシングルカットしてほしかったくらいのお気に入りでして、ぜひぜひ知らない方は聴いていただきたい!
何かのカップリングになったように記憶していましたが、調べてないです(笑)
コンサートでもごく短期間歌ってくれていて、生でも聴きましたが、シングルにするにはサビをもう一回繰り返すといいなぁ。火の国の女みたいにコンサートバージョンが欲しいなぁ。なんて思っているうちに構成が変わってしまい、とても残念でした。
冬美ちゃんにとっても似合っていて、冬美ちゃんらしい激しい女歌で、火の国の女や恋は火の舞い剣の舞いとかが好きな方にはビンゴだと思います。
岸壁の母は今より歌謡浪曲部分が浪曲よりも歌に近く、アルバムの中での違和感が少なく聴けるのではないかと思います。
こってりと古典をオリジナルで歌う。という趣のアルバムですが、コンセプトアルバムとしては贅沢な楽曲だし、復帰後初のオリジナルアルバムとしてはかなり冒険している異色のアルバムだと思うので是非冬美ちゃんファン中級~上級を目指す方にはいろんな可能性も感じて頂きたいなぁ。と推すわけです。
第三位「名作 歌つづり」2008年発売
01 紀ノ川
02 女房気質
03 青い蝶になれ
04 羅生門
05 十六酔いカルメン
06 千すじの黒髪
07 沓掛時次郎
08 雪国~駒子 その愛~
09 レモン哀歌
10 梅川忠兵衛(歌謡浪曲)
小説や歌集、映画をモチーフにしているこのアルバム。
心を伝える表現力を活かして、冬美ちゃんが1曲ごとに世界観を表現しているこのアルバム。
シングル曲も羅生門、雪国~駒子その愛~、紀ノ川と3作連続で名作モチーフで発売していた頃のアルバムです。
恥ずかしながら~全部原作を知りませんでしたが(笑)このアルバムやシングルきっかけで原作にも興味が沸き、原作を知ると(読むと)更に曲の世界観が深く掘り下げられて感慨もひとしお。
時間がある方には、冬美ちゃんの曲をきっかけに更に文芸にも興味の持てる秀作です。
特に素晴らしく好きなのは曲調と歌声では十六酔いカルメン。
ちょっと悪女な冬美ちゃんが好物の方にはたまりません。
沓掛時次郎は歌謡浪曲バージョンのコンサート音源も是非探してください。
アルバムも良いですが、歌謡浪曲が入ることで物語が更に理解できて
♪いいってことよ 任せておきな♪
の感情がより深く理解できて男気を歌わせたら右に出るものがいない冬美ちゃんならではのかっこよさに惚れまくること請け合い。
レモン哀歌もぜひ詩集や漫画でもいいので千恵子抄を読んで聞いていただきたい!
コンサートでも短期間ではありますが歌ってくれていて、それはもう、どうしても毎回涙してしまう世界観。
梅川忠兵衛は二葉先生とのBS日本のうたがyoutubeにも落ちているはずですので、冬美ちゃんの女っぷりが素晴らしい梅川の姿も確認してください!!
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