2007.06.01 富山オーバードホール 昼の部

3月30日の広島以来、2ヶ月ぶりのコンサート。
この間は新曲のキャンペーンでTVやラジオの出演が続いていた冬美ちゃん。
ファンの集いはあったものの、久しぶりのコンサートできっと張り切ってくれるはず♪と期待に胸膨らませて会場へ。

会場は思いのほかキレイで大きく、聞けば2200人収容の大ホール。
一階後方が「2階席」という表示のため、実質は4階だが5階席まである。

私はラッキーにも最前列の真ん中あたり。
コンサートが始まる前に振り返ると、人が上から降ってきそうなくらい満員。両サイドのボックスシートにもちっちゃく人の影がある。

幕が上がるといつものように笑顔で堂々とした冬美ちゃんが手を広げている。
そしてまたいつものように会場を隅々まで見渡している。
きっと、「広いなぁ~。今日も聴かせちゃうよ~!」と気合が入ったと思う。

ふたりの大漁節で始まって、オープニングトーク。
これまたいつものメガネおじさんが「ここでコンサートをしたのはねぇ。」と話しはじめる。
「はい。なんですか?お父さん」
「●年●月にここでコンサートがあったの」
「あらー、ずいぶん記憶力がいい方ですねぇ。昨日の夜ごはんは何を食べられたんですか?(笑)」

前方のお客さんとのやりとりひとつひとつに大きな笑いがドっと起こる。
大きな会場なので、きっと初めて冬美ちゃんを見る人も多いだろうから、最初は坂本冬美ってどんなもんよ?という試すような雰囲気が会場を包んでいたが、このトークで心を許す人が多いのではないだろうか?

テレビで見るより気さくな人だ。面白いじゃない。気取ってないじゃない。キレイだわ。顔が小さい・・・などなど、本来の冬美ちゃんを見て、きっとみんな印象が変わるのだろう。

私の周りはファンクラブの方が多いみたいで、顔は知らなくても雰囲気で初めてじゃない感が滲んでいる方ばかり(笑)
隣になった紳士は、
「オレはいろんな歌手を見ていたけど、女の歌手に対してみんなで応援したい。と思ったのは冬美ちゃんだけだ」と話してくれました。
他の女性歌手は独り占めしたいけど、冬美ちゃんにはもっともっとデッカクなって欲しいから応援する。という意味のようです。

後ろを振り返れば満員のお客さん。
この人たちが全員、今日の冬美ちゃんのステージを見て冬美ちゃんに惚れこむのかぁ・・・と思うと、誇らしい気持ちで、隣の紳士の言う言葉に納得できました。

祝い酒、冬美のソーラン節と続き、ちょっと早いけど「風に立つ」
会場が大きいせいか、少しでも客席に近づこうと舞台ギリギリまで前に出て歌う冬美ちゃんが落ちてくるんじゃないかと心配になりました。

そんなに前に出なくても、充分に、充分に歌声は届いているのに、それでもあと一歩出てサービスしたい。そんなところが好きなんだよなぁ。とぼんやり考えていました。

ソーラン節はホントに大好き♪
口を大きく開けるわけでもないのに、よく通る声がぶれることなく出てきて、歩いても走っても真っ直ぐに伸びていく。やっぱり天才だなぁ。。。

風に立つのガッツポーズも決まって、力強い声を聞くと、もうすでに「あ~、来てよかった。今日、この場にいられる私は幸せものだ」という気分になっていく。

梅川忠兵衛は拍手のしどころが会場によって違うようだ。
出てきた瞬間に拍手が起こるところもあれば、間奏で拍手が出たり、静かだなぁ。と思ってると最後に嵐のような拍手がきたり。お約束がない緊張感が私にも伝わってくる。

♪かくせど~~~♪
うん。今日も調子が良さそう。
いつも覚悟をして、背筋を伸ばしてこの声を待つんだけど、いつもいつも予想以上のインパクトのある声が出てくる。不思議だなぁ。

きっと3階や4階の人にはこの表情は見えないんだろうけど、それでも感動している気配を後方から感じる。
美人演歌歌手であることに驕らず、芸を磨く冬美ちゃんの真剣さに、きっと驚き感動しているのだろう。
ヒザを曲げ、肩を震わせて全身で歌う姿に、そこから発せられるまっすぐな声に背筋が伸びる。
もっと楽な歌だってあるだろうに、自分を試すように高みへ向かう冬美ちゃんをイチバン感じる瞬間だ。

司会の冗さんのトークで一息ついてから、私の大好きな風雪ながれ旅のコーナーへ。

あれ??キノハチさんじゃない。
尺八の人が変わってる。
横笛の音色がやわらかい。いいじゃん!いいじゃん!

背筋を伸ばしてシャンとした表情の冬美ちゃんが拳を握りながら一歩づつ進んでくる。

うん。やっぱりかっこいい。風雪ながれ旅はもう冬美ちゃん以外のは聞きたくない。ってくらいかっこいい。
途中で尺八がちょっと音をはずすとおだやかに微笑んで、すぐにまたマジメな顔に戻り2番を歌ってくれた。

「今日はじめてなんですよね。はじめまして。坂本冬美と申します」とお茶目にNEW尺八さんにご挨拶。
トークの打ち合わせをしていなかったのか、何を聞かれてもはぐらかして答えない寡黙な尺八さんにもめげず、りんご追分へ。

ちょっとギクシャクした感じもあったけど、私がしっかりしてれば大丈夫!といわんばかりの姉御ぶり。
気持ちよく歌う。というまでにはいかない様子だったけど、キッチリ聴かせますよ!という感じかな。

夜桜と蛍の提灯はいつも通り。
幕が開いたときから、冬美ちゃんの香水の香りがふんわり漂っていたけど、この2曲はたくさん動くからそのたびにあの香りが届いてくる。
一列目の醍醐味を味わい、幸せ気分は絶頂に。

羅生門の雷の音に合わせてライトが雷さんのようにピカー!ピカー!って。こんな演出あったっけ?
黒の龍の着物でビシっと決まりすぎるほど決まった冬美ちゃんが睨みつけるような険しい表情で登場。

羅生門は思いっきり唸るときとソフトバージョンがあるように思う。私が好きなのは力いっぱい唸るバージョン(笑)
どこかというと♪この世におそれる ものはない♪の
「も」の部分。
ここを恐ろしく唸るときがあるんだけど、それがすきなので、今日はうなるかな?流すかな?って思いながら待ってるのだ。
今日はうならない日でした・・・

殺陣は中腰でバッサと股を割るので、何か見えちゃうんじゃないかと、他人事ながら心配しちゃいました。
あの険しい表情は、普段の穏やかな笑顔をする人とは思えないくらい。でも、それがかっこいい。私はすごく好きなんだな。この羅生門の冬美ちゃんが。

イチバン長いトークとプレゼントコーナー。

プレゼントコーナーの最後のほうに、今日古希を迎える超常連のOさんが行くと、
「Oさん、今日は古希のお祝いですって。おめでとうございます。」と冬美ちゃんから声をかけて、驚くOさんを見つめながら静かにHAPPYBIRTHDAYをキレイな声で歌ってくれました。
ファンサービス。みたいないやらしい感じじゃなくて、本当に知っている人のお祝いだから、めでたいじゃない?という、うまく伝えられないけど芸能人とファン。っていう感じじゃないんだよなぁ。
舞台の上と下にはいるんだけど、本当に目線が近いというか、隔たりを持たない人と人という接し方だから嫌味がないんだなぁ。冬美ちゃんは。
歌っているときはもちろん近寄ろうとも思わないくらいオーラが出てるんだけど、こうして人の目をみてお祝いしてる姿は大スター坂本冬美ではなくて、ひとりの女性としての冬美ちゃん。って感じ。

まぁ、それにしては、軽く歌うHAPPYBIRTHDAYが上手すぎるんだけどね。

駒子ちゃんの売れ行きを冗さんが
「売れまくっている新曲です!」
というと、ちょっと照れたように
「まぁ。おかげさまでボチボチという感じですが・・・」
こんな受け答えも好感度No1だなぁ。

カラオケ大会の告知があって駒子ちゃん。
ゆっくりと後ろ向きから首が傾き、それから振り返る。
こんな仕草ひとつで、あの羅生門を歌うときと全く逆のイメージを作ってしまうところが冬美ちゃんなのだ。

丁寧に歌いあげると、能登はいらんかいねに続く。駒子ちゃんだけを聴くと、あ~、駒子は冬美ちゃんのもんだぁ。と思うんだけど、能登はいらんかいねに続くと、やっぱり歌ってる回数、年数が違う分だけ能登はいらんかいねのほうがしっくり来る。なんだかほっとしてる感じが伝わってくる。わかるかなぁ・・・うまく書けないけど。

火の国の女までくると、あ~、そうだ、冬美ちゃんにはこれもあったんだ。という満腹感が来る。
もうずいぶんといいものを次々出してくれたけど、メインはまだまだ続くんだ。というお得感。

躍動感のある書と、激しく歌う冬美ちゃん、そして派手なスモークの演出を見ると、冬美ちゃんが大スターで全く手の届かないところに生きる人だったことを思い出す。

さっきまで気さくにファンとプレゼントについて話していた人と、この大きいステージで2200人を感動させている人は同じ人なのか?と疑いたくなる。
スターのオーラがイチバン出るのが、この曲じゃないだろうか?

そして「星に祈りを」にまつわるトーク。

そうだ。この歌もあるんだ。お腹いっぱいだけど、まだ感動できる心が私に残っているかな??

そんな心配をしてしまったくらいだったけど、全くその心配はいらなかった。

舞台の照明が落ちて、バックライトに映し出された冬美ちゃんが、大きく息を吸って空を仰ぐ。

着物姿のときにはあまり見せない仕草。きっと無意識なのだろう。

駒子のときに振り返るのは演出だけど、この深呼吸はきっと無意識にすることなのだろう。

着物を着ていることに違和感を覚えるほど、演歌歌手としてではなく、アーティストとして丁寧に言葉や曲を歌いあげる冬美ちゃんに、また深く、深く感動してしまう。
歌声が静かに、でも確実に心に浸透してくる。
この人はいつからこんなに人を感動させる歌を歌っているんだろう。何千、何万の人を感動させてしまう力をどこから手に入れたのだろう。自分でこの素晴らしさを気付いているのだろうか・・・

そんなことをボーっと考えながら、ただ心と歌声が重なることに感動する。とても贅沢な瞬間だ。

大きな、大きな拍手で星に祈りをが終わり、最後はあばれ太鼓。

お茶目で元気でいつでも悪ノリしまっせ。というイタズラ心溢れる歌い方。動きは演歌。楽しそうに会場と一体となり会場を束ねていく。

広い会場の隅から隅まで視線を配り、一人だって退屈そうにしている人を許すもんか。ってくらい会場を見回しながら、それでも歌が途切れることはない。
21年歌っている、この歌1曲でも全ての坂本冬美を表現してみせるよ。ってくらい大きな歌だなぁ。
猪俣先生ありがとー。って思う。

何十回も何百回もコンサートを見ている人でも、今日、初めて冬美ちゃんを見た人でも、たくさんの感動と発見と元気をもらえる。それが冬美ちゃんのコンサートだし、それが冬美ちゃんの間違いない魅力であり、才能だと思う。

コンサートが終わり、緞帳がおりたとき、もう一度振り返って会場も見渡すと、小さく見えていた4階席の人たちがとても身近に感じられた。笑顔すら私には見えるようだった。

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